博士だけど転職できた。研究以外で働ける自分を作る方法

転職ノウハウ・コツ・裏技集

 

 

はじめに:研究以外の道は本当にあるのか?

「博士を取ったのに、研究職につけなかった」「アカデミアから出たいが、他に何ができるのか分からない」──そんな不安を抱える方は多いと思います。私自身、30代前半でポスドクの任期が切れることが見え始めたとき、同じ悩みに直面していました。この記事では、研究職以外のキャリアを模索し、実際に民間企業へと転職した私の経験をもとに、“研究以外で働ける自分”をどうやって作っていったかを具体的にお伝えします。

私がアカデミアを離れると決めた理由

最大の理由は「将来の不安」でした。任期付きのポスドク職は年齢が上がるごとに再契約が難しくなり、職を失う恐怖が常につきまといます。年収も決して高くなく、家族を持つことを考えると非常に不安定でした。また、研究そのものは好きでしたが、研究以外の社会と切り離された環境に違和感を覚えることが増えていきました。「このまま年齢を重ねても、自分の市場価値は上がらないのでは?」という疑問が、転職を意識するきっかけとなりました。

自分の強みを書き出してみる

転職を考え始めたとき、まず行ったのが「自己分析」でした。研究者としての経験は、企業ではどう活かせるのか?研究で得たスキルを洗い出し、一般企業の言葉に言い換えていきました。

  • 論理的思考力 → 課題解決能力
  • 仮説検証 → データ分析・PDCA
  • 学会発表 → プレゼン能力
  • 論文執筆 → 文章構成力・情報整理力

このように、研究での経験をビジネスの枠組みに当てはめることで、「あ、自分にも社会で通用する力があるかもしれない」と思えるようになりました。

英語力を活かした武器作り

英語は研究者の大きな武器です。英語論文の読解力、発表スキル、メールでのやり取りなど、日常的に使用してきた能力を再認識し、TOEICを受験して「スコア」として数値化しました。結果は840点。企業側からすると「仕事に使えるレベル」として評価されやすくなります。転職後も、マニュアル翻訳や英文資料作成、海外との簡単なやり取りに役立っています。

副業で「会社以外の場所でも働ける」自信を得る

私は転職活動と並行して、副業としてブログと英語ライティングを始めました。最初は報酬も少なかったのですが、自分でサービスを立ち上げ、他人に価値を提供してお金を得る経験は、想像以上に大きな自信になりました。これは「会社に依存しない働き方」の基礎にもなり、転職後も副業を継続しています。研究者としての専門性を活かしながら、別の収入源を作る経験は、精神的な安定にもつながります。

転職活動の準備:レジュメと職務経歴書

研究者の職務経歴書は、アカデミアとは全く異なる形式が求められます。業績一覧よりも、「どんな課題にどう取り組み、何を改善したか」が重要です。私は業績を列挙する代わりに、「研究プロセスのマネジメント力」「スケジュール管理」「チームでのプロジェクト遂行力」などを具体例と共に書きました。また、ポートフォリオとして英語のプレゼン資料やブログ記事を提出したことで、他候補者との差別化にもなりました。

転職エージェントで「博士歓迎求人」を探す

一般の求人サイトでは「博士可」と書いてあっても実際は応募対象外なこともあります。そこで、理系・研究職向けの転職エージェントを活用しました。「アカリクキャリア」「リクルートR&D」「JACリクルートメント」など、博士人材に特化したエージェントでは、キャリアアドバイザーが経歴を正しく理解してくれます。私は3ヶ月間で5社に応募し、2社から内定を得ました。研究分野に近い製品開発職に内定し、年収も100万円ほどアップしました。

まとめ:「自分は研究以外でも生きられる」と証明できた

「研究職を辞めること=敗北」と考えていた私ですが、今はむしろ、「新しいフィールドに挑戦できて良かった」と心から思っています。研究で培ったスキルは、形を変えれば多くの場面で活かせます。博士号を持つあなたにも、多様な可能性が広がっています。「自分に何ができるのか」を丁寧に棚卸しし、少しずつ準備を重ねていけば、必ず道は拓けます。

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